若き研究者と共に、革新の種を蒔き続ける徳島大学 獅子掘教授。次世代のIT技術について、そして企業との共同研究について聞く(前編)

徳島大学 知能情報工学科 教授 獅々堀 正幹 氏

徳島大学 知能情報工学科
教授 獅々堀 正幹 氏

獅子掘教授は、徳島大学で学び同大学 大学院で研究活動を続け博士号を取得。ジャストシステムとの共同研究では「かな漢字変換」に大きなブレイクスルーを生み出すことに成功。
飛躍的進化を商品にしたジャストシステムは一躍日本を代表するIT企業へ。獅子掘教授も先端研究者として、Apple Japanと共同研究を行い、成果を伝授。徳島大学で生み出された恩恵を世界中に広めています。

現在は、研究者としてだけではなく、指導者としても大きな存在感を放っています。学生アンケートで最も優れた指導者に送られる「Best Teacher of the Year」も数回受賞。平成31年(2019年)3月に卒業又は修了する学生の就職担当教員でもあります。
徳島のIT技術研究の未来、また未来の研究を支える学生について伺いました。

―― 獅々堀先生はどのような分野の研究をされているのですか。

私の専門は大きくは情報検索の分野の研究です。
大量のデータの中から、必要な情報を早く正確に見つけだす技術です。たとえばGoogleやYahoo!といった検索サイトでも使われる技術でもあります。日常の使用には全く問題がなくストレスレスな使用ができるスピードと精度に技術が発展しています。しかし、データがますます膨大になっていく中で、さらなる検索のスピード化を図っていくための基礎研究が重要になっています。

また、今はテキストだけでなく、画像や映像、音源による検索システム、つまりマルチメディアの検索も可能になっています。検索対象の広がりに伴い、検索方法も変化しました。従来の検索はパターン検索と呼ばれ、たくさんのルールを作っておき、そのルールに従って対象を探すルールベースの研究でした。しかしルールのストックは手作業による入力に頼っていました。そうした状況でコンピュータが飛躍的に発展し、データを大量に取り込み、読み出せる能力を備えました。いわゆるAIです。

―― 現在、取り組まれてきた研究について教えてください。

飛躍的に進化したコンピュータを利用して10年ほど前には、色や形状、模様で検索できる類似画像検索システムの開発し実用化にも成功しました。ワールドビジネスサテライトにも取り上げてもらい、テレビ出演を果たしたのはいい思い出です。ただ、マルチメディア検索への社会の要望は高まり続けており、もう一段階ステップアップするためにこちらも継続した基礎研究が必要です。

現在はAR(拡張現実)の研究に取り組んでいます。VR(仮想現実)とは違い、現実の世界に仮想の情報を付加します。研究を進めているひとつは、演奏支援システムです。特殊なメガネをかけることで、本物のギターやピアノの上に、演奏に理想的なバーチャルの指が映像として浮かび上がります。そのバーチャルの指を追うことで上達してもらおうというわけです。

実は理想の「指」を表示することは、上達にとって重要な鍵となります。ギターのどの弦、ピアノのどの鍵盤を押すのかだけでなく、その時の理想的な指の形や運び、つまり「運指」こそが演奏にとって肝心だと言われています。現実にないものを付加できるAR技術だからこそ、理想の運指を表現できました。今では、伝説のギタリストや演奏家の運指をARで再現するという企画なども出てきており、実用性に加えてエンターテイメント性も備えたとても面白い研究になっています。

ギターの弦の上にある白い指が現実にはない拡張現実です。
ギターの弦の上にある白い指が現実にはない拡張現実です。

また防災方面にも可能性が広がっています。たとえば災害時の避難ルートを目の前に見せてくれるシステムなどです。まるで自分がいま災害から逃げているかのような臨場感を持って体験することができます。子どもも避難路を覚えるまで何度も見ることができますし、足の悪い方やお年寄りにも気軽に使って頂けます。
今後、様々なシーンで必要とされる技術として受け入れられるものだと確信しています。

―― AR(拡張現実)は、教育や防災など幅広い分野でも使用することできるのですね。技術を応用し、いろいろなサービスに活用できそうですね!

―― これまで取り組んでこられた研究のなかで、とくに印象深かったものを教えてください。

企業との共同で行った「かな漢字変換」の研究では、情報技術のダイナミックさを目の当たりにしました。

「かな漢字変換」というのは、かなを入力するといくつかの変換候補が瞬時に出てきてその中から選択して入力する機能のことです。PCだけでなくスマホやタブレットなど、今やあらゆる端末についていますので使ったことがないという人はいないと思います。

日本語という領域においては、20年ほど前はATOK(エートック)というシステムが主流でした。徳島のソフトウェア開発会社であるジャストシステムが開発していて、ATOKという商品名の由来は様々あるようですが、阿波(AWA)のAと徳島(TOKUSHIMA)のTOKから名づけられたとも言われています。

私もATOKの高速化の研究に関わっていました。かな漢字変換は大きく2つの要素からできています。
1つは、無限にある言葉をデータベース化した辞書と呼ばれる部分。もう1つは、日本語を切り分けて変換候補を辞書から検索して取り出すという頭脳に当たる機能です。当時はその検索スピードに課題がありました。徳島大学と企業との共同研究で高速化に成功し、それを商品化したジャストシステムもどんどん大きくなり、日本を代表する企業になりました。

―― 企業との共同研究を通して、大きな技術革新に貢献されていたのですね!
徳島大学として、今後も企業との共同研究に力を入れいくことを考えているとお聞きしました。

後編では、企業と大学が共同研究をする双方のメリット、今までの共同研究の実績などをお聞かせ頂き、また徳島大学の学生の特徴などを教えて頂きました。徳島大学との共同研究を検討したい企業様もご参考に頂ければと思います。

若き研究者と共に、革新の種を蒔き続ける徳島大学 獅子掘教授。
次世代のIT技術について、そして企業との共同研究について聞く(後編)』を読む
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