徳島唯一のゲーム制作会社「unieef」が実現する、原石採用。
県内唯一のゲーム制作会社として、2020年に徳島オフィスを設立した「株式会社unieef」。
現在は、ゲームの世界を彩る背景や、キャラクターを含む2Dイラストレーションの制作を主に行っています。
代表を務めるのは多くのゲームパブリッシャー案件で実績を持つ藤田 博幸氏。
クリエイティブの中心とも言える東京に本社を置きながら、徳島に制作拠点を構えた経緯と、一年経過しての実態をお伺いしました。
株式会社unieef 代表取締役社長:藤田 博幸 氏
ゲーム制作会社やフリーランスを経て、2017年に株式会社unieefを設立。
数多くの有名企業のゲームアプリやコンテンツ制作を手掛ける。
2020年に母親の故郷である徳島に制作拠点を設置し、東京と徳島の案件を進行中。
人材確保のため、ゲームやアニメとの親和性を感じる徳島に拠点を設置。
徳島オフィスの設立は2020年5月1日。開所の準備自体は2019年の8月頃から始めていました。
開所予定のタイミングにコロナの影響が世の中で出始めていたため、延期しようかとも思いましたが、徳島での人材採用が決まっていたため、これも縁と思い予定通り設立しました。
徳島は母親の故郷で、もともとゆかりのある土地でしたので、地域に貢献したいという気持ちが少なからずあったことが、徳島にオフィスを作った理由のひとつです。
また、東京の業界状況として、人材不足ではあるものの求められるクオリティーは高くなり、賃金も高騰しているため人材確保はリターンが見合わず、小規模のベンチャーでは資金力の面で採用が厳しい状況です。
人材は会社の根幹ですので、いくら受注機会が多くてもほとんどが外注制作となってしまえば、会社の成長にはつながりません。そういった理由で、経験は少なくても才能を感じる人材を、徳島で育てようと考えました。
徳島はufotableさんの活動やマチアソビなど魅力あるコンテンツがあり、アニメやゲームが好きな方の人口も多いので、当社のような業態は目に留まりやすい。東京から来た、こういった会社があると知ってもらいさえすれば、採用につながる自信がありました。
現在、徳島では競合他社がいないこともプラスに働き、いいペースで”原石”と思える人材が入ってくれています。いろいろな現場経験を経た今だからこそ、そういった人材を選ぶことができているのだと、自分の目にも自信を持っています。
開所以降コロナの影響もあり、人材確保という観点で軌道に乗るまでは予想より半年ばかり遅れてしまいましたが、1年で5名ほどの採用ができたことで受注できるキャパも増え、案件も増えている状況です。現在は、人が足りないと感じるくらいには忙しくさせてもらっています。
マネージメントや、より広範な業務に必要なスキルという面では、やはり東京の方が層は厚いため、今後も東京と徳島の二軸で採用は進めていきたいと考えています。
現状では、正直なところ徳島の方がうまく採用できていて、入社した5名の方々はみんなキラリと光る才能を感じる、今後が楽しみな人材ばかりです。今のところ離職がないこともありがたいですね。
仕事をする環境は大切。縁がつながって今のオフィスができました。
もともと、私自身は東京でゲーム業界に25年ほどいて、自分でブランドを起てるなどコンテンツを作る経験を多く積みました。
ここ10年くらいはスマホゲームの開発会社などで、マネージメント業務や大手パブリッシャーとの仕事を経験し、ゲーム業界全体の知見がさらに広がったので、6年前に独立、4年前に法人化をさせていただきました。
昨年まではクライアント様の現場に入り、制作・ディレクション・営業と何でも一人でやってきたのですが、あらためて法人化したことの意義と受注が増加してきた状況を踏まえ、人材を確保しカジュアルアプリなどの開発や、中規模な受託開発などを経て自社タイトルの開発がしたいと考えました。
そんなとき、知人を介し「国際東船場113ビル」のオーナーである株式会社国際の山田社長と知り会いました。「国際東船場113ビル」は、登録有形文化財であり、しんまちボードウォーク隣接という好立地にある、徳島市の中でも特にシンボリックな場所です。
仕事をする環境は大切にしたいと思っており、オフィスにはこだわりたいという思いがありました。
「国際東船場113ビル」での開所は幸運にも恵まれたと思っています。
今後はここでコンテンツ発信の力を蓄えながら、さらに人が増えることになれば増床をしようと考えています。
コロナの影響で出たマイナスからの転換期。今からが楽しみです。
このコロナの状況で、世界的にはコンテンツの需要がより高まっています。
プラットホームは代わっても、ゲームコンテンツはなくならない。モノを考える、設定するコンテンツ力はいつの時代も不変です。
強力な人材を得た今は、より新しいものを提供し、成果を構築できる自信を持てるようになりました。
言い方が悪くなりますが、ゲームコンテンツは”食いっぱぐれない”業界だと思います。
「好き」を仕事にしたい人は多いので、この業界を目指す人はたくさんいます。
経験がなくても”原石”のような人材はいる。ただ、その人たちを育てるには、時間と正しく指導できるマネージャー、またディレクションを担う役割が必要です。
しかし、育成の負荷がかかるのは初期のことだけなので、長期的に見れば企業としての財産となり、トータルではプラスになると考えています。
そこをきちんと認識できれば、徳島での人材採用にメリットを感じ続けられるんじゃないかと考えています。
現在unieefは、イラストレーターを中心の採用を行っており、デザイン業務がメインとなりますが、今後はユニティエンジニアやサーバーエンジニア、プランナー、ディレクターなどゲーム会社として必要な人材を順次採用し、徳島をゲームの開発拠点にできればと思っています。徳島から世界に発信できるコンテンツを作ることが目標です。形としては東京に営業起点があって、受注した仕事を徳島で制作するという感じでしょうか。
徳島県内の案件としても、おかげさまでGIGAスクール配布PCの公式キャラクター「でこちゃん」のデザインを担当させていただいたり、地元JCなどの活動に協力することで、徳島県の防災フェイズフリーアプリの開発に携わるなど、パブリックな案件に参画する機会もいただいています。
今後は、東京と徳島をつなぐアフターコロナを意識した新しい企画をどんどん進めていきたいと思っています。
今からがとても楽しみです。