古民家を改修したSansan神山ラボでは、世界をマーケットにしたアプリを開発しています。
それだけでなくリフレッシュもできるという、働き方の未来をインタビュー。

辰濱 健一 氏 移住転職のご縁:徳島のソフトウェア会社に新卒入社 勤務先:Sansan株式会社 Sansan神山ラボ Eight事業部  法人向けクラウド名刺管理サービス『Sansan』、名刺アプリ『Eight』を提供するSansan 。 その徳島のサテライトオフィスであるSansan神山ラボでエンジニアとして勤務する傍ら、新しい働き方を発信。

辰濱 健一 氏

移住転職のご縁:徳島のソフトウェア会社に新卒入社
勤務先:Sansan株式会社 Sansan神山ラボ Eight事業部
法人向けクラウド名刺管理サービス『Sansan』、名刺アプリ『Eight』を提供するSansan 。
その徳島のサテライトオフィスであるSansan神山ラボでエンジニアとして勤務する傍ら、新しい働き方を発信。

Sansan株式会社は「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」をミッションに名刺管理のクラウドサービスを提供しています。法人向けサービス『Sansan』の利用企業は国内にとどまらず、グローバルに展開しており、また個人向け名刺アプリ『Eight』も提供しています。

松重豊さんの「それさぁ、早く言ってよ~」が印象的な『Sansan』のTVCMを見た人も多いと思います。
URL: https://jp.corp-sansan.com/service/#sansan

名刺アプリ『Eight』のTVCMは今をときめく成田凌さんと青木崇高さんが共演。
「名刺交換はいいんだけどさぁ、友達増やしたいわけじゃないんだよな」というセリフが印象的です。

Sansanの東京・表参道本社の様子
Sansanの東京・表参道本社の様子

Sansanが提供しているのは、名刺を使っている全ての企業と人が、国を問わずユーザーになる可能性を秘めたスケールの大きなサービスです。すでに国内の名だたる大手企業が導入しています。
徳島県にも古民家を改修したサテライトオフィス「Sansan神山ラボ」を開設しています。そのSansan神山ラボで勤務するエンジニア、辰濱さんにインタビューしました。

Sansan神山ラボの外観です
Sansan神山ラボの外観です

◆神山町のサテライトオフィス(SO)「Sansan神山ラボ」ではどのような業務を行っているのですか?

Sansan神山ラボには2名が常駐しています。私は個人向け名刺アプリ『Eight』の開発をしています。Eight 事業部は全体で90名くらいのメンバーがいて、そのうち開発は50名くらいで私以外はほぼ東京で働いています。常駐のもうひとりは、法人向けサービス『Sansan』のマーケティングに携わっています。

◆個人向け名刺アプリ『Eight』のどの部分を開発しているのですか?

『Eight』開発の中にもたくさんのテーマがあって、例えばメッセージの活用とか、Facebook のようなフィード機能、国際化や企業向け機能を提供するなど、それぞれ大きなミッションを持ったチームに分かれています。私は国際化チームに所属していて、インドにアプリを展開するための開発をしています。分かりやすい例は日本語ではなく英語でも表示できるようにする開発ですが、言語だけでなく目に見えない文化や環境の違いへの対応も必要です。日本の端末はスペックが高いのですが、海外で普及しているのはそう高くありません。また、現地のインターネット環境でもストレスなく動作するような対応も必要です。
ただ、神山にいてはインドの文化や環境が分かりません。そのため、実際にインドに赴いて、現地のインターネットを使った調査や現地端末での動作確認も行いました。

牛小屋だった建物の中にガラス張りのワークスペースがあります。
牛小屋だった建物の中にガラス張りのワークスペースがあります。

◆徳島で開発するメリットについてはどのようにお考えでしょうか?

神山だからこそのメリットは、オフィスが広く静かですので、仕事に集中できることです。外に出ると遠くの鳥のさえずりと川のせせらぎが聞こえてくるほど静かです。街中のオフィスのように、ミーティングしていると隣で営業の電話が鳴って声が聞こえないなんてことがありません。雑音が少なくて集中しやすいですね。
出勤したときの体力も全然違います。渋滞や満員電車とは無縁ですので、体力の消耗がなく、仕事にエネルギーを注ぐことができています。

◆東京との連携は可能なのでしょうか?

オンラインでつながりますので事務的なコミュニケーションに問題はありません。社内のイベントにもオンラインで参加することもあります。先日も本社のイベントスペースで飲み会をやっていて、テレビ会議でつないでSansan神山ラボから参加しました。こちらでもコンビニのおつまみを用意してお酒を飲みながらモニター越しに様子を眺めていると、東京メンバーもカメラの前にきて話しかけてくれます。でもお酒が進むと、最後は放っておかれて(笑)。

オフラインでのコミュニケーションも大切にしていて、東京の表参道本社に月に1回は出社するようにしています。メンバーとご飯を一緒に食べに行ったり、新メンバーと顔合わせをしたり。東京の空気を忘れないようにということで会社から配慮をしてもらっています。以前は年中行事の時にしか出社しませんでしたが、今が程よい頻度だと思っています。

東京・表参道本社とのコミュニケーションはオンライン、オフラインの両方でとっていると辰濱さん。
Sansan東京・表参道本社とのコミュニケーションはオンライン、オフラインの両方でとっていると辰濱さん。

◆Sansan神山ラボは東京・表参道本社の社員にとってはどのような位置づけなのでしょうか?

本社の社員がリフレッシュのために希望してSansan神山ラボにきます。期間は様々ですがだいたい10日〜1カ月半くらい、その間はSansan神山ラボで寝泊まりします。平日は仕事をして、休日はリフレッシュの一環として森づくりや清掃活動など町のイベントに参加することもあります。林業のお手伝いではチェーンソーで木を切ったり、薪を割ったり、一緒に楽しんでいます。働きながらリフレッシュできることが大きなメリットになっているようです。

年に何度も行き来して常駐になりたいと話す人もいますが、家族や子どもの事情などもあり今のところ実現はしていません。

阿波おどりに出るために東京から来たメンバー。
阿波おどりに出るために東京から来たメンバー。

新卒入社した社員の合宿施設にも使われています。去年は新卒と役員20人くらいが宿泊して、バーベキューなどイベントも行いました。作業は新入社員に任せて、私たちSansan神山ラボ常駐メンバーは楽しませてもらいました。ただ20名でとなるとちょっと窮屈でしたので改修も検討しているようです。

Sansan神山ラボは新卒研修にも使われています。
Sansan神山ラボは新卒研修にも使われています。

◆辰濱さんはなぜ徳島で働くことを選ばれたのですか?

私の出身は奈良県で、三重県の大学に進学しました。電車で通学していましたが、元々人混みが好きではなく、混み合う電車が苦手でした。そのため就職は混みあわないような地方に行きたいと考えるようになりました。そこで当時徳島にあった大手ソフトウェア開発会社に応募したところ、ご縁を頂き徳島に移住してきました。

その後その会社の経営層が変わって入社当時と文化や働き方がかわった事もあり、転職することになりましたが、「徳島にいながら、世界をマーケットにした開発ができる」会社で働きたいと考えていました。
「徳島にいながら」という制約をつけるとかなり厳しくなるのですが、運よくSansanと出会うことができました。Sansanは当時、サービスを世の中に広めたいけれど人材が足りないという感じでした。世に出すのが前提でしたから、やりがいも大きそうだと感じました。

◆徳島本社の企業から東京に本社がある企業に転職し、何か違いを感じましたか?

カルチャーショックを受けたこともあります。Sansanに入社して最初の4カ月くらいは研修を兼ねて東京で勤務しました。その間に同じ業界の人たちの温度感の違いを感じました。例えば、徳島で働いていたときは、同業他社のエンジニアと接するというのは、会社的にはまずいんじゃない?という雰囲気がありました。人材や情報の流出のリスクがあるからです。
一方でSansanの場合、勉強会が多くて社外のエンジニアとの交流も盛んでした。リスクはあるけど交流によるメリットの方が大きいと考えているようです。それはSansanに限らず東京のIT企業の流れでもあるようでした。イベントなどを開催して交流を増やして、露出を増やしていこうというオープンな戦略が刺激的でした。

徳島でも同じような文化を作りたいと思い、勉強会に参加するだけでなく自分でも運営するようになりました。GDG(グーグルデベロッパーグループ)ではエンジニアが集まって、一日中本気で話します。RubyやAIの勉強会もあり、大学生も参加してくれるようになってきました。

徳島大学で開催されたGoogle アプリ開発者の勉強会「GDG四国」(Google Developer Group)の様子です。在京企業から受けた刺激を徳島でも展開したいと活動しています。
徳島大学で開催されたGoogle アプリ開発者の勉強会「GDG四国」(Google Developer Group)の様子です。在京企業から受けた刺激を徳島でも展開したいと活動しています。

◆神山の魅力は何でしょうか?

神山は田舎ですが、それでも人酔いしないレベルで人との交流があります。少し遠い距離感が人を癒すのだと思います。私自身人ごみが苦手ですが、神山に住むようになって人と交流することの価値を再認識できたと思います。

以前徳島市内で住んでいたときは、イベントは敷居が高いと感じていて、実はあまり参加していませんでした。こちらでは声をかけてもらえますし、行ったら知っている人がいるだろうということで、参加するようになりました。地元との接点が増やせるし、せっかくこっちにいるのだから積極的に行きたいなと自然と考えが変わっていきました。

神山で暮らしていると不思議と人を好きになれると思います。東京からくる社員もSansan神山ラボでしばらく勤務して、みんな元気になって帰っていきます。中には神山を気に入りすぎて東京に帰るのが嫌だなんていう人もいますが(笑)。神山は人を癒して前向きにさせてくれる不思議な場所だと思っています。

人との距離感が近すぎないから、エネルギーを浪費せず元気を回復させてくれます。
人との距離感が近すぎないから、エネルギーを浪費せず元気を回復させてくれます。
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