スタッフコラム

盛らずに、より高く評価される職務経歴書の作成方法 -認知的容易性の重要性-

職務経歴書の書き方が分からないのでアドバイスが欲しい、というご相談をいただきます。
職務経歴書は履歴書と比べて自由度が高いため、迷うことが多いようです。

私たちもエージェントとして、年間数百通の職務経歴書を拝読します。
その中で感じている、良い印象を受ける職務経歴書の共通点をお伝えしたいと思います。

職務経歴書の様式について

まず「様式」についてですが、ここではあまり差がつかず、重要ではないと思います。
データ形式はWordもしくはExcelで作成ください。インターネット上にたくさんありますので、自分好みのものを選んでください。しいて言うと、奇をてらわず、無難なものがいいと思います。

人は「分かりやすい=正しい」と直感的に思います

より注意を払ってほしいのは、「分かりやすく書く」ことです。
「分かりやすさ」は候補者が考えている以上に、採用担当者に強い影響を与えています。

心理学において、人は「分かりやすい」ものを正しいと感じ、「分かりにくい」ものは間違っていると感じることが明らかになっています。この「分かりやすさ」のことを「認知的容易性」とか「流暢性」といいます。

大げさに思ったかもしれませんが、これはロジックではなく、人の直感の働きです。
例えば、「シンプルなもの=正しい」というイメージがありますが、それも認知的容易性の表れです。

認知的容易性が職務経歴書に影響を与えます

難しい書類を読むときは、それを理解するために注意深く、慎重に読みます。疑い深くなっていて、人は少し不機嫌になります。そのため小さな間違いも見落としませんし、普段なら気にならないことにも反感や疑いを持ってしまいがちです。

簡単なものを読んでいるときは、リラックスして機嫌がよく、心地よさを感じています。そのため、あまり物事を深く考えず信頼します。意見が異なっても好意的に受け取ってくれる可能性が高まります。

もちろん、分かりやすくとも書いている内容に問題があっても、いくら分かりやすくても信頼されません。
しかし、内容が同じだとすると「分かりにくい書類」より、認知しやすく「分かりやすい書類」が高く評価され、選考に通過しやすくなります。

私たちエージェントも多数の書類を拝読しますが、分かりやすくまとめられている職務経歴書だと、仕事ができそうな人という好印象を持ちます。

職務経歴書では、無理にアピールしたり、誇張したりする必要はありません。
事実を思い出して書いた後は、「分かりやすく」工夫することに注意を払ってください。

分かりやすい職務経歴書のための工夫

文字の視認性を高める

文字色は複数使わず、グレースケールのような一色の濃淡で差をつけると落ち着いた印象にまとまります。
その他、
  • ・表題や見出し以外の本文のフォントは統一する
  • ・行間隔・文字間隔を詰めすぎないようにし、ある程度の余白を残す
  • ・表題や見出しは、太字、フォントサイズを大きくする、下線を引く、数字や 〈 〉、【 】 を使う
  • など見やすくまとめることを意識してください。

わかりやすい言葉を使う

業界ならではの専門用語や会社独自の言語などがあるケースがありますが、職務経歴書では、「誰もが分かる言葉」を使うようにしましょう。知らない言葉を多用していると、相手からの信頼を得にくくなります。
ありふれた考えをもったいぶった言葉で表現すると、知性が乏しく信ぴょう性が低いとみなされた実験結果もあるそうです。

適切な文章量

一般的には2枚程度が適切だと言われています。ただし、職歴、経験職種が多い方や技術者も実績の紹介のため長くなるケースがあります。長くなればそれだけ「認知的容易性」は下がりやすくなりますので、ページ数が増えた場合は、読みやすくするための工夫をしてください。
無理やり2ページに収めようとして、重要な要素が抜けてしまったり、フォントを小さくしたり、行間を詰めすぎたり、余白がない職務経歴書を作成される方もいらっしゃいます。大切なことは「わかりやすさ」ですので、2枚にこだわりすぎないよう気を付けてください。

抽象表現よりも具体的な表現

「取扱製品やサービス」「顧客」「実績」などをより具体的に、可能な限り定量的に書くと仕事内容がイメージしやすく、わかりやすくなります。抽象的な表現や誰にでも当てはまる内容ではなく、あなたが行ってきた具体的な仕事内容をわかりやすく表現することを意識してください。

「アピールしなければならない」という意識を捨てて、「分かりやすく」書くという意識に変えてみてはどうでしょうか。自分の経験を誇張しなくても、最大限に能力を伝えることができるはずです。

コラム提供元

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