株式会社うるるBPO

単なる地方拠点で終わらせない。弛まぬベンチャースピリットで挑む次のフェーズは、「自分たちで稼げる」組織。

東京に本社を構えるITベンチャー「株式会社うるる」。さまざまなITサービスを手掛ける同社のBPO事業を担う子会社として「株式会社うるるBPO」は設立されました。
DXにおけるデータ入力やスキャニングを中心に、事務局代行やコールセンター業務など多数のディレクションを行っており、2014年の創業から2021年4月時点までで、約5,000社27,000以上のプロジェクトを受注しています。

社名の『うるる』は、オーストラリア原住民であるアボリジニたちの聖なる地、エアーズロックの原住民語『ウルル』から取られています。
代表取締役の星知也氏がオーストラリアを旅したとき、その壮大で神秘的な景色に強く感銘を受け、その感動を事業に関わる沢山の人と共有したいという想いを込めて名付けられました。

強い「ベンチャースピリット」を理念のひとつに掲げる「株式会社うるる」が、BPO事業の地方拠点として選んだのが徳島県小松島市。
その設立の経緯や現在の取り組みを、「株式会社うるる」の創業者の1人である取締役副社長兼、「株式会社うるるBPO」の代表取締役である桶山雄平氏にお伺いしました。

徳島県に地縁はなく、拠点開設のきっかけは「人」でした。


親会社である「株式会社うるる」は、自分と代表の星を含む4名でスタートした会社です。
先見性とスピード感のあるITサービスを展開して急成長し、2017年にはマザーズに上場しています。

事業の柱は大きく3つ。「CGS事業」、「クラウドソーシング事業」、「BPO事業」です。
CGSは当社の造語で「Crowd Generated Service」の略。クラウドワーカーを活用して、今までにない価値を提供するサービスです。
クラウドワーカーのプラットフォームを担うクラウドソーシング事業、顧客ニーズ・市場トレンドをつかむアンテナ役、また人力をコントロールするディレクションノウハウの提供役としてBPO事業が、他事業から派生してCGSを支える形で相乗的に機能しています。


事業の大きな一端を担うBPOですが、その中でも拡大において最もコストがかかるのが、書類をデータ化するスキャニング業務です。大量のスキャナと紙の資料を保管しておく場所、そして人の手作業が必須なため、相応の人員が必要になります。
以前は東京の晴海にスキャニングセンターを構えており、そこで80台ほどのスキャナを置いて運営していましたが、さらなる拡大を考えた時に東京ではコストが高すぎるという問題がありました。
そのため、地方への拠点設置を考えるようになったというのが始まりです。

徳島県は特に地縁があったわけでもなく、複数の候補のひとつという感じでした。
他にも有力な候補地がありましたが、担当してくださった小松島市職員の方がとにかく熱心で。一緒にビジネスをやっていく相手として気持ちが動かされました。
行政は数年単位で異動があるので、当時の担当の方はもう別の部署になってしまったんですが、ずっと仲間のような意識でいます。

「人のチカラで 世界を便利に」というのがうるるのビジョン。人の熱意がきっかけになるというのは、なんだか自分たちらしいなと感じています。

決め手は「200坪以上のワンフロア物件探し」と、「人材採用」におけるサポート力。


小松島市職員の方の熱意は素晴らしいものでしたが、もちろんそれだけで開設を決めたわけではありません。
その熱意をしっかり行動で示してくださったことが大きかった。

拠点の条件として「200坪以上のワンフロア物件」が必要だったのですが、土地勘のない私たちに物件探しは難しい。地方では不動産の情報が完全にはデータベース化されておらず、市場に出ていない物件も多い。それこそ人づてで情報を掴むことが非常に重要なんです。これは地域の方の手助け無くしては無理だと思いました。そこに住む人にしか分からない、アクセスのしやすさ、しにくさもありますしね。

一度決まりかけた物件がダメになったりして、すんなりとはいきませんでした。そんな時も小松島市職員の方は諦めずに、文字通り走り回ってサポートしてくれた。
私たちも東京での仕事をしながらなので、頻繁に小松島に足を運ぶことが難しかったのですが、一度行けば朝から夕方まで付きっきりで対応いただいて、実際にすごい労力だったと思います。本当に感動してしまうほどでした。そして、見つかったのが現在のオフィスです。

オフィスは小松島市の人たちが「働きたい」と思ってくれる場所を目指し、内装にもこだわりました。休憩スペースの自動販売機は、半額が会社負担です。東京と同じレベルの福利厚生や環境を整備していることは魅力に感じてもらえると思っていたので、採用時にトータルで120名近くの方が応募してくださったのは嬉しかったです。


人材に関しては、現地でセンター長とアルバイト20名ほどの採用を予定していました。
そのアルバイト採用でも、小松島市職員の方がハローワークへの説明会を提案してくださったんです。スキャニングの仕事といってもピンとこないだろうと。
結果、ハローワーク職員の方にうちの仕事内容や福利厚生をしっかり理解していただくことで、順調に応募者が集まり、スムーズに採用ができました。

しかし、特に重要だと考えていたセンター長の採用には苦戦しましたね。
センター長はその後のビジネスに大きく影響のある重要なポジションだと考えていたので、採用のハードルも高く、なかなか適任者が見つかりませんでした。

それがクリアできたのも、地元企業とのご縁のおかげです。
東京のイベントで、徳島の人材紹介会社であるムツビエージェントのパンフレットを見かけて、声をかけたんです。すると、少し前に小松島市からもうちの件で相談を受けていたということが分かりました。社名は伏せてのご相談だったみたいですが、採用予定時期や業務の概要を把握していただいていたので、水面下で候補者の選定を進めてくださっていたと。偶然にも話が繋がったんです。
そこからは今までの停滞が嘘のように円滑に進み、現センター長の採用に成功。
2019年4月には晴海の業務を完全に小松島市に移管し、「徳島第一センター」の開設に至りました。今では拠点の人数も増え、50名ほどの規模になっています。

東京本社のサポートが不要な、独立した組織を目指す。大きな組織改革中です。


さらに翌2020年4月には、業務拡張のため「徳島第二センター」を開設しました。
場所は同じく小松島市内です。規模なども第一センターと同程度で、基本業務も同じですが、主要な顧客が決まっていることが異なります。守秘義務があるため社名は言えませんが、誰もが知る大企業の専属のようなかたちで、文書の電子化を行っています。

立て続けに2つのセンターを開設し、事業は順調に拡大しています。次のフェーズは組織としてもっと強くなること。
具体的には小松島市の両センターが、独立的に運営できるようになることを目指しています。
サテライトオフィスというと、都市部に本社機能があり、その業務の一部を地方で請け負うようなイメージが大きいと思います。またそれは実態に近い。
ですが、うるるBPOはベンチャースピリットを大切にしています。自分たちで挑戦し、創造する。
小松島市に進出したことで、せっかく徳島との縁が出来たのですから、地元大学や地元学生とのコラボや新規事業を行うなど、徳島ならではの進化を期待しています。

現在、うるるBPOで得たノウハウはすべて徳島に蓄積される状態です。
今後はグループ全体に対して、徳島から新たなビジネスが生まれるような環境にしていきたいと考え、そうできる仕組みを作っていこうと、今社内コンサルと一緒になって改革を進めているところです。
私自身もこれからのうるるBPOが楽しみですし、みなさんにもぜひ楽しみにしていただきたいと思っています。

株式会社うるる

設立
2001年8月 
資本金
10億3,381万円
売上
32億1,900万円(2021年3月期)
従業員数
222名
事業内容
CGS事業、クラウドソーシング事業、BPO事業
所在地
東京都中央区晴海3丁目12-1 KDX晴海ビル9F

株式会社うるるBPO

設立
2014年10月
資本金
6,000万円
売上
非公開
従業員数
63名
事業内容
BPO事業
所在地
東京都中央区晴海3丁目12-1 KDX晴海ビル6F
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