意思決定スタイル
ディンクレッジという研究者によると、意思決定には「8つの意思決定スタイル」があるそうです。
あなたは自分がどのタイプだと思いますか?
1.計画型スタイル :体系的段階的方法で意思決定を行おうとする。
2.直感型スタイル :計画的な段階を踏まずに、自分の経験や判断を活用する。
3.従順型スタイル :他人が意思決定することを許す。
4.運命論型スタイル :外部の力によって出来事が定められているものだと信じる。
5.苦悩型スタイル :選択の段階に没頭しすぎて意思決定までたどり着けない。
6.衝動型スタイル :体系的プロセスがわからない、もしくは価値をおかない。
7.延期型スタイル :恐怖心や情報の欠如、やる気のなさから決定を延期し続ける。
8.無力型スタイル :プロセスまたは結果が恐ろしく、前に進めない。
1はディンクレッジによると理想的なタイプ。
2~4は、良くも悪くも決断力があるタイプです。
5~8は意思決定ができないタイプとなります。
私個人は直感型だと思いましたが、状況や興味の有無によっては決定できないタイプにもなってしまいます。
あれもこれもほしくなって「苦悩」し結局選べない時もありますし、あまり興味関心のない事には「延期型」になってほったらかし・・。
人は特定のタイプだけに該当するのではなく、状況によっていくつかのタイプになってしまうと思います。
このコラムを読んでいる方は、何かお悩みになっているかと思います。
キャリアだけに限られない思考方法ですので、是非ご自身の状況と照らし合わせながら試してみてください。
トランジョンの把握
シュロスバーグによると、人生はさまざまな転機(トランジション)の連続であり、その転機を乗り越える努力と工夫を通して人は成長していく、と考えます。
【転機の例】
・進学する、進学できない、希望と違う進学先になった
・就職や転職、就職できない、失業した
・昇進や昇進できない
・異動や転勤
・Uターンや移住
・結婚や結婚できない、離婚した
・妊娠や出産、子どもができない
・恋愛や失恋
・親族の病気や死別
この様な転機を乗り越えるための分析手法が「4Sモデル」です。
(1)トランジションのタイプ
まずはどのような転機かを見定めてください。
・期待していた転機が起きたのですか?
・それとも、期待していなかった転機が起きたのでしょうか?
・はやまた、期待していた転機が起きなかったでしょうか?
(2)トランジションのプロセス
今は転機のどの段階でしょうか。
・転機の始まりですか?
・転機の最中ですか?
・転機の終わりですか?
(3)トランジションの影響
その転機は人生へ重大な影響を与えますか?
・役割は変化しますか?(例:学生から社会人になる、役職者になる、親になる)
・人間関係は変化しますか?(例:頼られるプロになる、親を支える側になる)
・ 日常生活は変化しますか?(例:規律正しさが求められる、家事を自分でするようになる)
・考え方の変化も求められますか?(例:自己責任が求められる、自分の裁量が増える)
転機から一歩距離を置いて客観的に見ることができたでしょうか。
4Sモデル
変化に対応し転機を乗り切るために、「4S」を分析してみましょう。
ご自身の状況に当てはめながら読んでみてください。
(1)状況:Situation
原因 :このような状況がおきた原因は何か。
体験 :同じような転機を経験したことがあるか。
期間 :一時的なことなのか、永続的なことなのか。
ストレス:現在の問題以外に抱えているストレスはあるのか。
認知 :チャンスととらえているか、ピンチととらえているか。
(2)自己:Self
重要性 :どの程度重要な事柄か。
他のバランス :仕事、家庭、趣味とのバランスをとることができるか。
変化への対応 :変化に立ち向かうか、受容するか。
自信 :自分に対する自信はあるか。
人生の意義 :人生にとってどのような意義を持っているか。
(3)支援:Support
励まし :家族や友人は成功を期待し励ましてくれるか。
情報 :必要な情報を収集できるか。
キーパーソン :重要な情報を提供してくれる人はいるか。その人からの支援は望めるか。
実質的援助 :経済的支援など実質的な援助を望めるか。
(4)戦略:Strategies
状況を変える対応 :情報収集やスキルアップなど状況を変えるための努力・行動をしているか。
認知・意味を変える対応 :転機の持つ意味をプラス思考に変えようと試みているか。
ストレスを解消する対応 :リラクゼーションや運動等でストレス解消を図っているか。
いかがでしたか?
極端に低いものについては、どうしたら強化できるかを考え、行動することが新たな戦略となります。
3つのシステム 支援機関
さらに、転換期を支援する「3つのシステム」の存在があれば、転換時に発生する様々な問題も解決することができると説きます。
1.転換を支援する機関(転職で言えば、ハローワークや転職エージェント、人材ビジネス等)
2.転換期を耐えるための経済的資源
3.支援してくれる人間関係
これら3つの支援システムのうち何が充足しているか、何が欠けているかをチェックして下さい。
もし欠けているものがあるならば、それを補う方法について検討してください。
まとめ
かなり体系的、網羅的な視点だと思います。
一つ一つ弱点を克服していくことは遠回りに見えますが、こうしたテーマについて向き合うことで満足のいく決断に繋がると思います。
緻密に物事を考えるのが好きなタイプにはとても良い視点だと思いますし、やる気があるけど決めることができないという「苦悩型」の人にも向いている分析方法だと思います。
是非試してみてください。
■参考文献
職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査
独立行政法人労働政策研究・研修機構:https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2016/165.html
ナンシー・K・シュロスバーグ(武田圭太・立野了嗣監訳)(2000).「選職社会」転機を活かせ 自己分析手法と転機成功事例 33 日本マンパワー出版