徳島県の山間部で作られている「阿波晩茶(あわばんちゃ)」。
この阿波晩茶の製造方法が、国の重要無形民俗文化財に指定されることになりました。お茶の分野では初めてのことだそうです。乳酸菌発酵させて作られる製法が世界的にとても珍しく、日本の茶文化を知る上で重要だと評価されました。
阿波晩茶についてあまり知らない人もいるかもしれませんが、酸味のある風味が特徴のお茶で、昔から地元のお茶として親しまれてきました。春の新芽ではなく、成熟した硬い茶葉を摘み、茹でたあと木の桶の中でじっくり漬け込んで作られています。このような後発酵茶の製法は阿波晩茶だけだと言われるほど希少なんだそうです。また、カフェインも少なく、乳酸菌も入っているため、最近では健康茶としても注目されています。
製造工程はどの生産者も同じなのですが、茶葉の茹で時間や漬け込む期間、そして蔵や桶に住み着いている乳酸菌も各生産者によって違うため、味の仕上がりが微妙に違うというのも阿波晩茶の魅力の1つです。
近年、後継者不足が課題となっていた阿波晩茶。2018年には「消滅の危機がある」とまで心配されましたが、生産者たちが阿波晩茶まつりや茶摘み体験を定期的に開催し、普及に努めてきました。今回の文化財指定をきっかけに、地元では知名度の向上や人材育成につなげられるのではと期待が高まっているそうです。
重要無形民俗文化財に選ばれることで、阿波晩茶の魅力がより多くの人に伝わり未来へ飲み継がれるお茶になっていくといいですね。指定される日が楽しみです!